今回の記事、以前医療介護者向けに作った個人サイトの画像を流用しているので画像がいつものじゃないですがお気になさらずに。
最近風邪が流行っていると薬剤師さんが言っていたので、今回はお熱についての記事を書いてみます。
体温計で表示されている数字は本当の体温ではない。
体温計には実測で表示するもの(=水銀体温計)と予測で表示するもの(ほとんどの体温計)があります。
本来体温計が触れている体温と同じ温度になるのに、わきでは10分かかります(=実測)
予測というのは、温度の上がり具合を計算して「10分後はこのぐらいの体温だろな」と予想して示すものです。
そのため誤差が生じます。且つ、下記記載の正しい測定部位で固定できていないと、誤差は大きくなる恐れがあります。
最近町で使われる非接触型は皮膚温度を測定し、そこから予測換算されているためもちろん誤差も生じます。
市販されているほとんどのものは実測&予測計です。脇にさして初めの電子音は予測の温度であり、そのまま差し込んだままにしておくと実測に切り替わります。
つまりは日々の体温測定なら非接触型でチャチャっと終わらせて、いざ熱がある時で、しっかりとした値が欲しいときは実測をした方がいいですね。
測る場所、測り方
子供の時からやっている体温測定。
正しい測り方を勉強した人は少ないんじゃないでしょうか。
実はちゃんと測り方があります。
体温計は脇のくぼみに先端が来るように差し込みます。
くぼみがある、すなわちお肉がなくて体の内部の温度に近いということです。
従って図の赤い部分が温度の高い部分となっております。
下から差し込み、30~45度の位置で固定します。
脇が汗をかいていると気化熱で表面が冷えており、正確に測定できません。
ふき取ってから測定をおすすめします。
ちなみに…
上から体温計を差し込むと、脇のくぼみの温度の高い部位に当たらないため、
正確な値を測定できません。
熱の理由を考える
発熱=病原菌が出す悪いものではありません。
体自身が病原菌やウィルスを倒すために戦う細胞のために戦いやすい温度に引き上げているのです。
そして大事なことをもう3つ。
①発熱前のエピソードを思い出す。
②熱の上がり具合を調べる。
③脈と熱の関係性をみる。
これは医師が診断して適切なお薬をだすのに必要な情報です。
発熱前のエピソードを思い出す
熱は風邪の時だけ出るものではありません。
- 厚着をして布団に入っている。室温が不適切。
- 着込みすぎている
- 良く遊ぶ友達が風邪をひいていた
- 自分の子供が風邪ひいていて常に抱っこしていた
- 水分量が少ない
- 傷口がうんでいる
- 骨折してる可能性がある
- お腹が痛いと言っていた
などなど。
熱の上がり具合を調べる
鑑別は医師や看護師に任せればよいので、稽留熱やら弛緩熱やら難しい用語は覚えなくてよいです。
もし看護学生さんがこの記事を読んでいたら、そのあたりは国師にでるので勉強してくださいね。
ざっくりとした感じに書いてみました。
⑴日内変動が1度以上あるのかないのか
⑵平熱まで戻るのかどうか
が重要となります。
もちろん解熱剤を使わないときの波形をみてくださいね。
③脈と熱の関係性を見る。
ふつう熱発するとそれに従い脈は増えていきます。
体温が0.5度上げれば脈拍は10上がると言われています。
なので熱のグラフと脈のグラフを重ねるとほぼ一緒に変動するのがわかります。
しかし、例えば大人の場合それが崩れて40度の高熱なのに脈が90回/分だったらただの風邪ではないので診断の大事な情報になります。
(130回/分ぐらいのはず)
その熱冷ます?
熱が出たから冷まさなきゃ!と思うのは少し待ってください。
何度も言う通り、熱は病原菌が発生させているものではなく、病原菌と戦うための細胞が動きやすくなる温度に体がわざと上げているんです。
なので、安易に下げてしまうと風邪が長引きます。
また、覚えていてほしいのは熱は上がるときに体に負担をかけます。
根本的に薬もしくは免疫の細胞が戦って病原菌に勝っていなければ、熱はぶり返します。
ぶり返すたびに負担がかかるんですね。
なので、短絡的に「熱が出た→解熱剤」という考えはやめておきましょう。
熱が出ていても元気いっぱいいつも通りなら下げなくても大丈夫です。
ただ、38.5℃以上になると乳幼児の場合は熱性痙攣を起こしやすくなるため、グッタリとして食欲が落ちてしまった際は解熱剤を使用してあげてください。
寒気がなく、冷やすのを嫌がらなければ、アイスノンや保冷剤を使って以下の3点クーリングで冷やしてあげてもOKです。
①氷を使って冷やす方法(=3点クーリング)
動脈が皮膚の近いところを通っている部位を冷やします。
図でオレンジ色をつけた
①首②脇③足の付け根
の3か所です。脇は片方開けておかないと後々体温測定ができなくなるので注意!
②解熱剤の使用
医師から解熱剤指示があれば使っていきましょう。
ここでは座薬の使い方のおさらいをします。
・保管場所は冷蔵庫(体温で溶けるように作られています。一度溶けてしまったら変形したり、有効成分がかたよってしまったりするので注意!)
①指示の確認。兄弟がいる場合は、その子によって1/2量だったり、大きさが違ったりするので注意!
③物品準備。
④パッケージを左右に引っ張って座薬を取り出します。
⑤痛みなく挿入するために座薬の先端にワセリンやベビーオイルを塗る。なければ先っぽを指でつまんで少し溶かしてぬるっと感を出します。
⑥おむつ替えの姿勢にして、座薬を穴に当てて、指先で押して中に入れます。
大人の場合だと第二関節まで入れてそのまま10秒ほど数えて指を抜きますが、子供の場合は直腸の長さが短いので、足を閉じれば自然と奥まで入ります。
肛門から薬が見えている場合はもう一度押し込みます。
まとめ
- 体温計は予測と実測を使い分ける
- 測るときは斜め30~45度から脇のくぼみに先端を差し込む。
- 熱を下げずに様子を見ることも大事。
- 熱の振れ幅に注目する。
以上です。
読者さんにとって少しでも有益な情報があれば幸いです。